特集 2012年10月28日

なぜ100kmマラソンを走るの?開催するの?儲かるの?

南会津を100km。様々な人が走ります。
南会津を100km。様々な人が走ります。
私はウルトラマラソンの大会に頻繁に出ています。こちらでレポート記事も幾つか書いています。

112kmのマラソンはとても楽しい
270km走るマラソンはそれでも楽しい
250km走るマラソン大会は、やはり楽しい

今回は、ウルトラマラソンの大会主催者と大会参加者に話を聞いてきました。

こういう大会はどんな人が、どのような思いで開催しているのか。そもそも大会を開催すると儲かるの?ウルトラマラソンを走るのは楽しいの?色々聞いてきました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:池袋で日本酒をはしご酒するイベント

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

色々な人が走っています。

デイリーポータル読者の方はウルトラマラソンと言っても「ああ、Tシャツ姿で酒飲んで笑っている筋肉質の人みたいなのが走る大会でしょ。」ぐらいにしかイメージが無いかもしれません。

いや、それは違います。ウルトラマラソンは色々な人が走っています。今回は昨年も出場した福島県の南会津で開催された「伊南川100kmウルトラ遠足(とおあし)」の主催者の方と、参加していた様々なランナーの方に話を聞いてきました。
もちろん私も走っています。
ウルトラマラソンはこんなのばっかりが走っている大会じゃありません。こちらの記事より。
ウルトラマラソンはこんなのばっかりが走っている大会じゃありません。こちらの記事より。

ウルトラマラソン主催者に話を聞く

まずは今回参加した「伊南川100kmウルトラ遠足(とおあし)」の主催者。海宝ロードランニングの代表、海宝道義さんに話を聞いてみました。
海宝さん。ロサンゼルスからニューヨークまでの4700kmを64日間で走る「トランス・アメリカ・フットレース」を完走したこともあるウルトラランナーです。
海宝さん。ロサンゼルスからニューヨークまでの4700kmを64日間で走る「トランス・アメリカ・フットレース」を完走したこともあるウルトラランナーです。
海宝ロードランニングは国内、海外でのウルトラランニンングの大会を企画、運営している団体。団体とはいうものの、準備、運営等の殆どは海宝さんと極少数の協力スタッフで行っています。
大会の準備は1年がかり。会場設営も前日からスタッフが手分けして行っています。
大会の準備は1年がかり。会場設営も前日からスタッフが手分けして行っています。
そもそもなぜウルトラマラソンの大会を運営していくようになったのでしょうか?

海宝「会社をリストラされた後、この機会にとアメリカ横断4700kmのウルトラマラソンの出場した時に、どこに行っても旅を応援してくれる人たちがいてね。そんな人たちに支えられて走らせてもらった気持ちをいつか誰かにも体験してもらいたいと思って。」
大会は朝5時スタート。スタッフは2時頃には会場準備を始めているそうです。
大会は朝5時スタート。スタッフは2時頃には会場準備を始めているそうです。
海宝さんは、もともとは病気治療の為の運動として走り始め、やがてウルトラマラソンを走るようになったそうです。その後、リストラ、アメリカ横断マラソン出場を経て、アメリカ横断マラソンのスポンサー会社に誘われて入社。

その会社で企画としてウルトラマラソンの大会を初めて開催、運営。その後、その会社を退職し、自らウルトラマラソンの大会を企画、開催、運営するようになったとのことでした。人生がもうウルトラマラソン。
エイドは選手の通過する1時間以上前から地元のボランティアスタッフ方が待機。
エイドは選手の通過する1時間以上前から地元のボランティアスタッフ方が待機。
そして、選手が全部通過して片づけが終わるまでエイドでは作業が続く。ありがとうございます。
そして、選手が全部通過して片づけが終わるまでエイドでは作業が続く。ありがとうございます。
馬場「大会の準備にはどれぐらいかかるのですか?」
海宝「大会の準備には1年はかかる。パンフの制作や、手伝ってくれる方の承認を得たり。地元の方との打ち合わせは、電話やメールなどで済ませず出来る限り現地に行って直接顔を合わせる。地域の人とのつながりがとても重要なんです。」

大会の運営で地元の人の協力は欠かせないそうです。
今回の大会の現地事務局の代表、酒井冨美さん(右から2番目)。パワフルなお母さんです。
今回の大会の現地事務局の代表、酒井冨美さん(右から2番目)。パワフルなお母さんです。
今回の大会では、現地に住む方が事務局として地域の方々とのやりとりなど精力的に活動されていました。事務局代表の酒井さんは以前海宝さんの講演を聞きに行き、海宝さんと交流があったそうです。

酒井さんはこの地域を多くの人に知ってもらう活動を色々されていました。その時、海宝さんとの縁があり、海宝さんがこの場所ならいい大会が出来るのではと大会開催を企画したのが4年前。今では300人近くの人が集まる大きな大会となりました。
なにしろこの大会は景色がいい。エイドも暖かくリピーターが多い。
なにしろこの大会は景色がいい。エイドも暖かくリピーターが多い。
地域の人にも楽しんでもらい、続けて行く事はとにかく大変とのこと。300人もの人間が1日かけて100kmも走る大会。その苦労は計り知れません。走った者としてはその尽力に感謝の気持ちでいっぱいです。

警察には「遠足」と言うといい

さて、これだけの大きな大会。沢山の人が道を走っていく事になる訳ですが、道路の使用許可というような何か手続きは要るのでしょうか?
ウルトラマラソンの大会は通常の歩行者と同じように、歩道を走り信号など各種交通ルールを守って走ります。
ウルトラマラソンの大会は通常の歩行者と同じように、歩道を走り信号など各種交通ルールを守って走ります。
馬場「大会開催に何か特別な許可とかいるのですか?」
海宝「車道を走るマラソンだと道路使用許可が必要だか、行政ならよくても個人だと許可が下りない。マラソンと書いて警察に使用許可を貰いにいったら、安全が守れるのか警備の人の配置はどうかと色々聞かれダメだった。」
馬場「ではどうしたのですか?」
海宝「1人の警察官が、競技性の無い大会というならマラソンではなく遠足という事にしたら特に規制は無いというような事を囁いてくれてね。それで大会名を「ウルトラ遠足」としたんだよ。」
この大会では国立公園内を通過します。この部分は通常登山者と同じように歩いて進むことが大会ルールになっています。
この大会では国立公園内を通過します。この部分は通常登山者と同じように歩いて進むことが大会ルールになっています。
この大会は競技性が無いので、順位表彰と言うのは特にありません。それを逆手にとって遠足と書き、「えんそく」ではなく昔でいう所のマラソンにあたる「とおあし」としたのです。意外な抜け道。

一応、こういう大会がこの日にあるということは警察に知らせておくそうですが、好意的な所もあればそうでない所もあり、場所によって違うのだとか。こういう所も地元の人との協力が重要なポイントとなります。

とにかく、大会開催においては安全第一ということを一番注意しているそうです。
ランナーもなるべく道の端を走り安全に注意する必要があります。更に、今回の大会では一部の道で通行許可が必要だったそうです。
ランナーもなるべく道の端を走り安全に注意する必要があります。更に、今回の大会では一部の道で通行許可が必要だったそうです。
さて、大会開催には色々と準備が大変な事は分かってきました。続いては皆さんが一番気になる点を聞いてみます。

マラソン大会を開催すると儲かるの?
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ウルトラマラソンの大会は儲かるの?

ウルトラマラソンの参加費は100kmぐらいの大会だと14000円から18000円程度します。200kmクラスになると3万ぐらいが普通です。結構な額。単刀直入に海宝さんに聞いてみました。ウルトラマラソン開催すると儲かるの?
こんな所もコース。なかなか出来ない体験をフルサポートでやらせてもらえるなら安いものだとは思いますが、主催者の台所事情はどうなの?
こんな所もコース。なかなか出来ない体験をフルサポートでやらせてもらえるなら安いものだとは思いますが、主催者の台所事情はどうなの?
海宝「全く儲かってない。こういった大会をやれば企業や行政から資金が出るものだが、私は参加した方の参加費だけで賄うことを心掛けている。そういったお金は1円も貰ったことがないよ。」

例えば、海宝ロードランニングの開催する「しまなみ海道100kmウルトラ遠足」では参加費が18000円。1200人程参加するので2000万円ほどの参加費が集まるそうです。
エイドにあった特産の南郷トマト。こういう物は地域の方の協力で出せるのだろう。
エイドにあった特産の南郷トマト。こういう物は地域の方の協力で出せるのだろう。
運営には、現地との打ち合わせの交通費、当日のスタッフの交通費や日当、パンフレットや地図やゼッケンの印刷代、案内の発送代、エイドや受付のテントのレンタル、荷物搬送などの為のレンターカー代やガス代、コースに取り付ける案内看板や点滅灯などの備品代などなど。挙げればキリが無いほど費用がかかるそうです。それを参加費のみで全て賄うわけです。

例えば海宝ロードランニングで開催する「宮古島100 kmウルトラ遠足」では15人から20人のスタッフが宮古島に行きます。1人あたり20万ほどの費用がかかるので当日のスタッフの人件費だけで3、400万かかるのだとか。赤字になってもおかしくないぐらいギリギリの運営。
大会翌日の片づけも海宝さん自ら動く。ありがとうございます。
大会翌日の片づけも海宝さん自ら動く。ありがとうございます。
海宝さんは、大会開催に関して利益は考えてないとのことでした。参加した人たちに来て良かったと言ってもらえる、地域の人にも楽しんでもらえる事を心掛けているそうです。

今では体を動かす教室や、うどん、燻製作りの教室なども開き、違う趣味もやりながらトータルとして自転車操業で運営しているのだとか。

自転車操業と言うよりウルトラマラソン操業と言いたい。
こういう幟も参加費から賄われているのか。海宝さん、インタビューありがとうございました。
こういう幟も参加費から賄われているのか。海宝さん、インタビューありがとうございました。
海宝ロードランニング
http://www.kaiho.info/

ウルトラマラソンランナーに話を聞こう

大会主催者に続いて、次は参加者の話を聞いてきました。どんな人がウルトラマラソンを走っているのでしょうか。
こういうのも走っている。この日のスタート地点の気温1度。でも、暑がりだから短パンTシャツでスタート。
こういうのも走っている。この日のスタート地点の気温1度。でも、暑がりだから短パンTシャツでスタート。
まずは女性ランナーに話を聞いてみました。
土生さん。信越五岳トレイルランニングレースを完走したこともある山ガール。
土生さん。信越五岳トレイルランニングレースを完走したこともある山ガール。
馬場「走歴はどれぐらいですか?」
土生「ダイエット目的で6年ぐらい前に走り始めて、本格的に走るようになったのは3年ぐらい前から。大会に出るようになったのは割と最近です。」
馬場「意外に短いですね。ウルトラを走ろうと思った切っ掛けは?大会に向けて何か対策しました?」
土生「きっかけは友達からの誘いで。それまではフルマラソンを1回走っただけ。大会に向けては30kmとか長く走る練習もしました。」

マラソンを始める理由は人それぞれですが、やはりダイエットなど健康目的の方は多いようです。
スタートから10km過ぎを快調に走る土生さん。昨年は15時間以上かけてゴール出来たのですが、今回は残念ながら60km付近で足の故障の為リタイア。
スタートから10km過ぎを快調に走る土生さん。昨年は15時間以上かけてゴール出来たのですが、今回は残念ながら60km付近で足の故障の為リタイア。
馬場「ウルトラマラソンを走って何かいいことありました?」
土生「自分の体の変化に敏感になって、食生活も変わりましたね。自分が出来ないと思っていたことが出来たので、精神的な面でもおおらかになりました。」
馬場「ちなみに大会に出ることに家族は何か言ってました?」
土生「旦那は、やるねぇと言うぐらいでしたよ。」
馬場「ところで、自分はSかMかで言ったらどちらです?」
土生「Mですね。ランナーの方は大体そうじゃないですか?」

そうですよね、足壊してまで走るような連中は大体Mでしょう。

アイスホッケー歴10年ランナー

他の方にも話を聞いてみます。続いては男性ランナー。
黒田さん。マラソン歴はまだ2年。しかし、元々結構なアスリート。
黒田さん。マラソン歴はまだ2年。しかし、元々結構なアスリート。
馬場「走歴はどれぐらいですか?」
黒田「2年ぐらい。走り始めて3か月でフルマラソンに出て、更に半年後にはウルトラマラソンでています。」
馬場「元々運動していたのですか?」
黒田「子供の頃は陸上部に。その後アイスホッケーを10年ぐらい。その後かなり間があいてランニングを初めています。」

元々はアスリートな黒田さん。今回は12時間台でゴールするという自己新記録を出したそうです。やはり基本が出来ている人は走るのも楽なようです。

馬場「ところで、自分はSかMかで言ったらどちらです?」
黒田「Mでしょ。大体そうなんじゃ。」

ですよねー。

社長走る

次はこの方。
福田さん。マラソン大会というものに今まで出たことがなく、これが初大会。
福田さん。マラソン大会というものに今まで出たことがなく、これが初大会。
馬場「マラソンの経験は?」
福田「大会には出たことが無い。飲んでいる席での勢いで参加を決めてしまった。普段は走っても5㎞程度。大会に向けては30kmぐらいを2回。42kmを1回。超スローペースで走っています。」

福田さんはこちらの会社の社長さんだそうです。

株式会社アド・エスタ
http://sitestaire.com

馬場「そんな無謀な出場で家族や社員は何か言っていました?」
福田「あきれてたり、無理しないようにと。凄い!と言われる快感も♪」
足を引きづりながらも60kmまでは行けたそうです。時間切れでしかたなくリタイア。初大会で凄い。バブル世代の方はやることがいきなりで大体ポジティブ。
足を引きづりながらも60kmまでは行けたそうです。時間切れでしかたなくリタイア。初大会で凄い。バブル世代の方はやることがいきなりで大体ポジティブ。
馬場「また大会に出たいですか?」
福田「絶対に走ります!他にもサハラマラソンとかボルドーメドックマラソン(エイドにワインがあることで有名なフランスの大会)にも出たい!」
馬場「ちなみに、自分はSかMかで言ったら?」
福田「自分を痛めつけて楽しむドSであり、痛めつけられて喜ぶドMでもあります。」

ドSでドMな社長のいる会社。個人的には働いてみたいなと思うものの、現社員的にはどうなのだろう?うーん…

更に他の方にも聞いてみました。
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想いの詰まったS派ランナー

次はまた女性ランナー。
柘植さん。子供の頃運動は苦手だったとか。前回は50km辺り。今回も60km手前で無念リタイア。
柘植さん。子供の頃運動は苦手だったとか。前回は50km辺り。今回も60km手前で無念リタイア。
馬場「走歴は?」
柘植「3、4年ぐらい前から周りの影響で走り始めた。大会に出たのは昨年の伊南川100kmが初めて。この大会を盛り上げようと友人に誘われて参加しました。」

柘植さんはランナー、アスリート、冒険家たちの応援、ランやアウトドアを通じたチャリティ活動を行うグループの1人。

piece of earth
http://poesjnm.exblog.jp/

今回もチャリティで販売したTシャツの収益の一部を南会津で活動するNPOに届けにいったのだとか。単純にランナーというだけでなく色々な想いの人が参加しています。

馬場「皆さんに聞いているのですが、自分はSかMかで言ったら?」
柘植「私は仕事でもプライベートでもSですね。でも、こういう事をやるのはMの部分もあるのかな?」

初のS派!大丈夫ですよ。直ぐに頭の先までこっちの世界に浸かりますから!

女装家も走る。

続いてのランナーはこちら。
埼玉のはるな愛こと今野さん。男性です。エントリー受付会場にもこの姿で登場。完全菜食主義者。
埼玉のはるな愛こと今野さん。男性です。エントリー受付会場にもこの姿で登場。完全菜食主義者。
女装家の方もウルトラマラソンを走っています。

馬場「走歴は?」
愛「3年ぐらい。ウルトラマラソンは2年。今回で4回目。普段はハーフやフルを走っています。」
馬場「なんでウルトラマラソンに?
愛「東北の支援になるかという気持ちがあって。東北で開催される大会中心に出ています。」
セーラー服姿で出場。ゴールまでは帰れたものの、残念ながら時間切れだったようです。
セーラー服姿で出場。ゴールまでは帰れたものの、残念ながら時間切れだったようです。
愛さんは完全菜食主義者なので、ランニング中の補給食も自分で作る為、炊飯器や大きなクーラーボックス持参で参加。走っていて色々な方から声援を送られていました。

馬場「ところで、自分はS…いや、いいです。」

この質問は別にいいか。存在感が凄すぎる。

経験1年半ランナー

続いてのランナーはこちら。
木川さん。山は登るがラン経験はあまりない。走る服装もどこか山登り風。
木川さん。山は登るがラン経験はあまりない。走る服装もどこか山登り風。
馬場「走歴は?」
木川「1年半ぐらい。昨年2月に誘われて大会に出ることになって慌ててシューズを買ったような状態です。」
馬場「では、全然スポーツはやっていなかった?」
木川「登山は好きでやっていました。でもランニングは全く。」
馬場「大会に向けて何か特別にトレーニングをしました?」
木川「月合計で150kmぐらい走るなどしていましたが、大会前の1か月は3回ぐらいしか走れませんでした。」

結構無謀な感じで参加している木川さん。誘われたら1回はやってみる主義だそうです。山ガールは驚くほど前向き。
ペースは速くないが着実に距離を重ねた木川さん。昨年は53kmでリタイアでしたが今年は制限時間15分前に見事ゴールしていました。
ペースは速くないが着実に距離を重ねた木川さん。昨年は53kmでリタイアでしたが今年は制限時間15分前に見事ゴールしていました。
馬場「ところで、やはり木川さんも自分はSかMかで言ったらMですよねー」
木川「いや、その気は無いですね。辛いの嫌いだし。」

いや、いや。私とて痛いとか辛いの嫌いです。でも、マラソンの辛さは別で…まあ、いいでしょう。いずれはこちらの世界の筈。

動く趣味が欲しかった。

続いてはこちらのランナー。
渡辺さん。30km付近、イイペースで走っていました。前に出た大会では70kmリタイアだったのが今回は見事完走。
渡辺さん。30km付近、イイペースで走っていました。前に出た大会では70kmリタイアだったのが今回は見事完走。
渡辺さんは走歴6年ほど。ウルトラマラソン歴はまだ2年程度と短いそうです。

馬場「元々スポーツをよくやっていたのですか?」
渡辺「以前は全く。何か自らの意志で動くような趣味が欲しかったんです。それで走るようになりました。」
馬場「なんでウルトラマラソンに?」
渡辺「最初はハーフ。そしてフルを走っていて、もっと長く走りたいと思ってウルトラに出ました。」

健康目的などで走る人が多い中、趣味欲しさで走り始めた渡辺さん。無謀に挑戦するランナーが多い中、着実に距離を伸ばしていく正統派と言えるでしょう。

馬場「ところで、Sか…」

いや、もういいか。

忍者走る

続いてのランナーはこちら。
慎さん。佐渡島1周200kmのマラソンを完走したこともあるランナー。
慎さん。佐渡島1周200kmのマラソンを完走したこともあるランナー。
忍者装束ので走るランナーに話を聞きました。

馬場「走歴は?」
慎「走歴はそれほど長くないです。元々はサッカーを長くやっていました。」
馬場「いつも忍者の格好で走るのですか?」
慎「いや、最近ビブラムを履き始めて、今回それで走ってみようと思って。ビブラムは地下足袋風だし、地下足袋なら忍者かなと。」
こちらがビブラムファイブフィンガーズ。以前こちらの記事でも紹介したものです。走るにはそれなりの技術とトレーニングが必要です。
こちらがビブラムファイブフィンガーズ。以前こちらの記事でも紹介したものです。走るにはそれなりの技術とトレーニングが必要です。
かなり単純な理由により忍者装束で100kmに出た慎さん。途中で足を痛めてしまい、レース後はまともに歩けないほど大変な事になっていました。大会の思い出は?と聞いたところ「痛さ」。来年も出たいかと聞いたところ「普通の靴で」と返ってきました。

質問しなかったですが、きっとこの人もMに違いない。

仙人走る

それでは最後にこちらのランナー。
守さん。御年72歳。私よりも早くゴールしていました。
守さん。御年72歳。私よりも早くゴールしていました。
守さんは大会参加者の中でも5番目ぐらいに高齢の方(最高齢は77歳)です。

馬場「走歴は?」
守「40年以上だね。マラソンもウルトラマラソンも何度も完走しているよ。昨日も山登りしてきた。」

守さんは子供の頃は走ってはいなかったが、健康の為走り始めるようになったのだとか。同じランニングチームの方に聞いた話では「仙人」と言われているそうです。

うん、仙人だ。

馬場「SかM…」

仙人に、そんなこと聞くもんじゃないな。

楽しい出会いが沢山ある

ウルトラマラソンの大会で様々なランナーの方に会いますが、こうやってインタビューをしたのは初めてでした。どの方も、ウルトラマラソンの良さを聞くと、沢山の出会いがある事を挙げます。

普通のマラソンだと、大会当日朝に会場に行って走って終わり。他のランナーと会話する事は比較的少ないです。しかし、ウルトラマラソンだと宿泊の必要があったり、走る時間が長かったりと選手同士、地域の方との交流が非常に濃くなります。大会エントリー代は高いと感じるかもしれませんが、そういう楽しさや、スタッフをはじめボランティアの方々の手厚いサポートを考えるととても安いものと思えます。

海宝さんはウルトラマラソンを「大人の遊び。遊ぶのは大変なこと」とも言っていました。ウルトラマラソンに限らず、自分には無理かなと思わず何かに飛び込んでみると意外な楽しさがあります。少しでも興味のある方は、まず挑んでみてはどうでしょう?何かが変わるかもしれません。
大会後は同じ宿に泊まっていた参加者や宿の人が入り乱れて大宴会。こういう所もウルトラマラソンの楽しさの一つ。
大会後は同じ宿に泊まっていた参加者や宿の人が入り乱れて大宴会。こういう所もウルトラマラソンの楽しさの一つ。
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