特集 2012年12月5日

和める!ママと妊婦向け漫画ルーム

漫画と赤ちゃんくつろぎ放題!
漫画と赤ちゃんくつろぎ放題!
もはやそこそこの街ならあるのが当たり前になった「漫画喫茶」。しかもそのサービスはジュース飲み放題は当たり前、仕事に食事にシャワーに…とすごい広がりよう。さらにいろいろ調べてると「赤ちゃんと行ける漫画ルーム」が練馬にあるというのだ。
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

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漫喫的空間とはぜんぜん違った

今回うかがったのは「練馬ママ漫画ルーム・よんこま」。世界初の妊婦さんとハイハイ前の赤ちゃん限定の漫画を読めて、くつろげるスペースです。最初はそう聞いて「赤ちゃん連れOKの漫画喫茶ってこと?」と思ったんですが、実際ルームに入れていただくとこんな雰囲気!
広々とした空間でこりゃ居心地良さそう。
広々とした空間でこりゃ居心地良さそう。
部屋の端の棚には漫画がずらり。
部屋の端の棚には漫画がずらり。
赤ちゃんも寝返り放題な広さ。
赤ちゃんも寝返り放題な広さ。
いわゆる漫画喫茶とはぜんぜん違う!倉庫を改造したという部屋は天井も高く広々。漫画も何千冊とあるわけではありませんが、このペパーミントグリーンの落ち着いた空間にはぴったりの量かと。「ママ向け」でうず高く梶原一騎先生の漫画とかあったらちょっと驚くよね…。ともかくあの雑居ビルの密閉空間とはえらい違いだ。
漫画を読むお母さんもいれば、
漫画を読むお母さんもいれば、
こちらでは編み物講座も。
こちらでは編み物講座も。
BGMが流れる中で赤ちゃんが時折ダーダーアーアーと声をあげ、お母さんたちはそれぞれの趣味にいそしみ中。どの子もハイハイ前とあって、近い距離で様子見ながら漫画も楽しめるのがいいですな。これもっと動きだす時期だと余裕ないもの。

最近自分も一日子供面倒見たりする機会が多く「子連れで気楽に行けるところってホント少ないなあ」と感じてた所なので、こういうのあるの羨ましい!

しかしもっと漫画喫茶寄りなイメージで来たけど、予想以上のフリーな空間。まずこの雰囲気が気になった。さっそくよんこま代表のうえきさんに話をうかがいました。
--漫画喫茶ぽいわけでもなく、サークル的でもなくいい感じのゆるさのスペースでいいですね!

「最初に女性だらけの社会に入るのって、緊張がありますよね。『公園デビューが怖い!』みたいな。たまり場に行ったつもりが逆に孤独を高めて帰ってくるとか(笑)」

--子供って共通の話題があっても、自然と会話するのってなかなか難しいですよね。

「でも、ここは『漫画がメイン』という建て前があるので、喋らずに漫画読んでいていいから会話しなくても場が持つんですよ(笑)。もちろん会話してもいいし、編み物とかやってみたい人は教えあったりも出来るし。話題が子供だけじゃないから、発生する会話がすごく自然なんですね」

--子供についての会話って家庭に踏み込むような所あって難しい所あるでしょうし、実は。

「子供中心じゃなくてママ中心の会話が生まれるから、『ママつきあいって楽しいな』って感じてもらえると思うんです。子供が大きくなってここを卒業しても、各自連絡取り合っていろんな所行ったりされたりして。ハブみたいな場所ですね」
良い意味でそれぞれ好きな事がやれる空間。
良い意味でそれぞれ好きな事がやれる空間。
--もともとこういう場を作ろうと思ったきっかけは何ですか?

「もともと派遣社員を10年くらいやってたんですけど去年2人目の子供が生まれて『このまま2人見ながら働くのは針のムシロだなあ』と思ってたんです」

--現実的にいろいろと大変ですよね。

「そんな時たまたま近所に空き家を見つけて。それ見た時に『ここちょっといじくれば漫画喫茶になるなあ』と思ったんです。わたしも漫画好きだし、子供生まれると漫画喫茶行けないとか不満だったんですよね(笑)。それで『お母さんが赤ちゃん連れてこれる場って需要あるんじゃないかな?』と思って」

--自分が欲しい、がきっかけで。

「そんな時に自分がたまたま骨を折ってしまって(苦笑)、それで療養してる時にいろいろ考える時間が出来たんですよね。それでいろいろ脳内シミュレーションを繰り返して、こういう場を作ったら面白いんじゃないかなって」
まだ動き回らない年頃だけに漫画も読みやすい。
まだ動き回らない年頃だけに漫画も読みやすい。
また障害のある方や、退職したおばあちゃんなんかも読書しながら仕事出来るような場にしたい、という思いもあり、実際に知的障害者の方もよんこまで働いている。

みんな先生になっていろいろ教え合う

こうした「妊婦&ママ向け漫画ルーム」は日本初、というかまず世界初。オープンしてまだ一年ながら、口コミ中心でその存在は広まりつつあり、練馬を中心に東京都外からわざわざ来られる方もいるのだとか。
--置いてある漫画はうえきさんの家から?

「そうです。おかげで家がすっきりしました(笑)。男性誌の漫画もあるんですけど、基本的にはサクセス系の少女漫画中心ですね。ここに来て後味悪いのを読んで沈んでもらっても悪いので(笑)」

--確かに!子連れでどんよりはヤですね。

「基本的にはしっかり終わってる完結ものを置いてますけど、自分で面白い! と思ったものは途中のものでも置いてますね」

--やっぱり長い漫画だと「続き読みたい!」ってなるから自然とリピーターになりますよね。

「そうですね!うちとしてもありがたいです(笑)。先が気になって次の日来ちゃう、ってお客さんもいますね。」
このあたりが人気作だそう。
このあたりが人気作だそう。
1時間まで500円、1時間以上は一律1000円、という時間で割るわかりやすい値段設定は漫喫っぽい。

またよんこまではベリーダンス・ネイル・似顔絵・英語など、様々な部活動やサークル活動を行っている。もちろん子供を横に置きながらだし、先生もプロじゃなくて基本的にはここのお客さんということで無料もしくは安価。
「最初は漫画しかなかったんです。それでどうしたらもっと知ってもらえるだろう?と思ってたんですけど、ある時『運動不足だね』って話からベリーダンスやってみようかって話になったんです。私もダンスに関しては素人なんですけど、楽しさを教えてやるくらいはできるかなって」

--一緒に楽しむ感覚で。

「それで考えてみると他のお客さんにもいろいろ教えれる人がいるわけですよ。編み物で帽子なら編めるとか、手話を仕事でしてたとか、ヨガやってたから教えられるよ、とか」

--実は「先生」がいっぱいいたんですね。

「ちゃんとお金は取ってもらうようにして。その収入でウチの利用料を払ってもらえばいいし。お母さんも講師という立場になるので、その日のために資料作ったり、研究し直したりと気合い入れてますね」

--結構やりがいを感じる人も多かったと。

「それにお母さんも短時間で卒業するから、また次のお母さんが活躍する場があるんです」

--常連が出来すぎない空気っていいですね。

「でもわたしは卒業できないんですけどね(笑)。それでずっとここでベリーダンス教えてるんですけど、そしたら今練馬で60人くらい踊れるようになったんですよ。それで最近は『イベントで踊ってくれないか』って呼ばれるようになって。ツイッターやフェイスブックで卒業したお母さんにも呼びかけて、来れる人だけでダンスするんですよ。だからもう盆踊りみたいになりつつあります(笑)」
掲示板に有料無料のいろんな予定が。
掲示板に有料無料のいろんな予定が。
漫画ルームからなぜかベリーダンスが練馬名物に!最初の構想からまったく違う展開を見せてるところに、妊婦やママたちのポジティブな欲求が伝わってきます。この時期、家や狭い範囲しか動けないお母さんたち。しかしこういう場さえあればいろんな事が出来るんです!

「もっと同じような店を全国に広げていきたい。こういう店は日本でしか出来ないと思うし、世界にも発信したいですね」といううえきさん。漫画から広がるママ友とか趣味繋がりとかいろんなもの、ママじゃないけど羨ましい!

代表のうえきさん。ありがとうございました!
代表のうえきさん。ありがとうございました!

もっと増えてほしいなあ

こちらのよんこま、近所のゼミの研究対象にもなっているのだとか。こういうの近所に出来たら…と思う人多いだろなあ。フランチャイズも募集してるそうなので、むしろ自分がやりたい!という方はよんこまへ!

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