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コロッケの街高岡でコロッケを食べつくす


日本一

富山県の高岡市は「コロッケの街」なのだそうだ。富山市がコロッケの消費量日本一だったためらしい。コロッケの消費量を調べていることも驚きだが、なんで日本一が富山なんだ! という驚きもある。

高岡市は「コロッケの街」としてコロッケで町おこしをしている。様々なお店でオリジナルのコロッケを食べることができるのだ。

ぜひ食べたい。僕はコロッケが好きなのでぜひ食べつくしたい。ということで高岡市でコロッケを食べてまわった。

地主 恵亮



コロッケの街高岡

富山県の北西部に位置する高岡市。ここには日本三大大仏のひとつである「高岡大仏」がある。この大仏は奈良や鎌倉の大仏と比べるとほっそりとしている。奈良や鎌倉の大仏より存在感が薄いのはそのためだろうか。


高岡市の大仏(手前で跳ねているのは僕です)

高岡市はコロッケで町おこしを行っているが、そもそもは富山市が2004年の「家計調査年報」で年間コロッケ購入金額全国1位(約2400円/年)になっていることに関係がある。

この調査は県庁所在地だけで行われたもので、高岡市のコロッケ消費量は実は分かっていない。しかし、「高岡市でも購入額は多いに違いない」ということでコロッケでの町おこしが始まったそうなのだ。軽いノリだ!


でも、そういうノリは嫌いではない

コロッケでの町おこしとは、具体的には様々なお店で各店のオリジナルコロッケを出していることだ。チョコ味のコロッケだったり、チーズのコロッケだったりとバラエティに富んでいる。ぜひ食べたい! ということで僕は高岡市を訪れたわけだ。


運転は久しぶり

 

道の駅 万葉の里高岡


道の駅

まず訪れたのは「道の駅 万葉の里高岡」。道の駅はその町で食べるべきものが大体集まっているように思える。だから、ここでももちろんコロッケを食べることができるわけだ。コロッケの街での初コロッケなのでワクワクである。


左がカニクリームコロッケ(100円)、右が大仏コロッケ(200円)

紅ズワイガニコロッケ(150円)

3種類のコロッケをチョイスした。大仏コロッケは何といっても大きく、紅ズワイガニコロッケには豪勢にも身が入っている。
僕には今日までの人生で「カニ=高級」の図式が成り立っているため、ただならぬ高級感が漂っているように思える。


やっぱり美味しい!

大仏コロッケはジャガイモが甘く幸せな気持ちになる。紅ズワイガニコロッケはカニの食感を十分に味わうことができ、僕の心の中のミシュランが「三ツ星と言うことで」と会議を行っていた。
カニクリームコロッケはクリーミーでコチラまでもがクリーミーになってしまいそうだった。どれも想像以上に美味しく驚いた。さすがコロッケの街だ。


万葉シュー(万葉集)も売られていた(ダジャレだ)

道の駅 万葉の里高岡
富山県高岡市蜂ケ島131-1
TEL:0766-30-0011

 

ホテルニューオータニ


高級ホテルですな

元祖「高岡コロッケ」を食べることができるのがホテルニューオータニ高岡。厳密にはその中に入っている「カフェ&ダイニングCOO」だ。高級ホテルでコロッケとはアンバランスな感じだ。コロッケは庶民の食べ物な気がするからだろうか。どちらかというと定食屋が似合う食べ物だ。


右からシロエビコロッケ、サーロインコロッケ、ズワイガニと甘エビのクリームコロッケ

テイクアウトは1個250円、イートインだと1個300円とコロッケとしては少し高めだけれど、僕はホテルで食事をする機会があまりないので思い切ってイートインを選択した。ココだけの話一個につき50円をケチるか否か15分も悩んだのだ。


断面図

味はどれも値段以上の美味しさだった。サーロインコロッケは肉の美味しさに驚く。今まで僕が食べてきた牛肉コロッケは実は肉ではなかったのではないかと思うほどに全くの別物だ。肉の中に肉、真の肉という感じなのだ。


美味!

シロエビコロッケは富山の名物であるシロエビがふんだんに使われ香ばしく箸がすすむ。クリームコロッケは身も沢山入っており高級感が台風の日の波くらいに押し寄せてくる。

さすが高級ホテルだ。庶民のものだと思っていたコロッケが急に上流階級の食べ物なっていた。コロッケも頑張り次第で上流階級になれることを知った。


水もレモンの味がして美味しかった。さすがホテル!

カフェ&ダイニング COO
(ホテルニューオータニ高岡内)
富山県高岡市新横町1番地
TEL:0766-25-4036

 

サンコー野村店


地元の普通のスーパーです

高いコロッケを食べた後は、コロッケ本来の魅力である「安い」コロッケを食すことにした。コロッケは本来は安い物なのだ。

これは僕の推測だけれど、富山でコロッケの消費量が多いのは、共働き率が高いことと関係があると思う(富山は共働き率が高い)。晩御飯にお惣菜を買うことが多く、そうなると安いコロッケは必然的に買うことになるだろう。その結果コロッケ消費量が増えるわけだ。


安い!

驚きの価格。1個30円だが4個買えば1個25円になるこのお値段。コロッケの本領発揮だ。こうでなくてはコロッケではない。POPもあって、そこにも富山はコロッケの消費量が一位だと書いてあった。観光客向けではないスーパーでもコロッケを押している。


ゆるキャラ!

スタンダード

大きさも普通で、中身も普通。スタンダードな昔ながらのコロッケを堪能できる。そして、これが甘くて美味しいのだ。砂糖が入っているのではないのかと思うほどに甘い。もしこれが結婚生活ならばかなりの甘さだ。日本人なのに「ハニー」「ダーリン」と呼び合うほどに甘い。


笑顔になってしまう

サンコー野村店
富山県 高岡市 野村1717
TEL:0766-25-1535

インド料理 デリー


富山感がゼロ

次に向かったのは「インド料理 デリー」。店名が「デリー」なうえに、「東京・銀座」とまで書かれているために富山感がまったくないが、本当に富山のお店だ。ここでは2種類のコロッケを食べることができる。


手前がチーズコロッケ(100円)、奥が野菜コロッケ(100円)

チーズコロッケは半分に割る前から緑色なのが分かる。チーズコロッケなにのなぜ緑? と当然の疑問がわくので、お店の一番偉そうなおばさんに聞いたら「私は売るだけ! 中身は知らな〜い」と元気に朗らかに返事が返ってきた。厨房ではインド人が作っているらしい。


緑(フェタチーズやモッツァレラチーズが入っているみたい)

あまりに元気に僕のQへのAが返ってきたので、深く聞かずに食べてみた。するとどうだろう、ものすごく美味しいのだ。ジャガイモが入っていないのでコロッケと呼んでいいのかは疑問だが、美味しいからいいや、と言う気持ちになる。今この原稿を書きながらも、このコロッケの味を鮮明に思い出せるほどに美味しかった。


野菜コロッケも負けてない

野菜コロッケはスパイシーで後味に胡椒のようなピリリとした辛さがあり癖になる。具も大きくやっぱり美味しい。カレーコロッケではないが、どこかカレーの味がするのはインド料理のお店だからだろうか。もう一度ぜひ食べたいコロッケだ。


うまし!

インド料理デリー
富山県高岡市あわら町13-49
TEL:0766-25-0796

 

いろりの里


居酒屋ですな

そろそろ満腹になって来たので、この店で最後にしようと居酒屋である「いろりの里」に入った。店員さんに「コロッケだけでもいいですか?」と捨てられた子猫のような目で聞いたら「どうぞ、どうぞ」と快くコロッケだけの注文をOKしてくれた。


里芋コロッケ(400円)

ジャガイモの代わりに里芋を使った里芋コロッケ。このコロッケの素晴らしいポイントは種類だ。コロッケとしてはスタンダードな「肉」は分かるのだけれど、それ以外がコロッケなのに「みそ」と「チョコレート」なのだ。


みそ

チョコ

里芋コロッケはジャガイモのホクホク感はないが、ねちっこく愛おしい食感とジャガイモよりも日本情緒溢れる甘みが魅力だ。肉の里芋コロッケは当然のように美味しい。


美味しい!

問題作1個目の「みそ」は「みそ」のしょっぱさが里芋の甘さをより引き出していて美味。すいかに砂糖をかける原理と同じだ。問題作2個目の「チョコ」は単純により甘くなり、おやつという感じがする。明治製菓から商品化してもいいかもしれない。


トマトコロッケ(500円)

最後はトマトコロッケだ。トマトが丸々一つ使われていて夏を感じる一品になっている。コロッケの中にはひき肉が詰められ揚げられている。トマトの酸味が暑い夏の日によく合いどんどんと箸がすすむ。もう一度食べたいと原稿を書きながら切に思っている。


トマト、丸々一つ

問題はコロッケの定義だろう。ジャガイモを使わずともコロッケと言っていいか微妙なところだ。まぁただ美味しいから、もう何でもいいやという考え方もある。楽天家なので僕はそう考えている。美味しいは正義なのだ。つまりコロッケは正義なのだ。


どんどん箸がすすむ

民家風食べ処 いろりの里
富山県高岡市桐木町32
TEL:0766-22-5100

コロッケは美味しい

コロッケは完成された食べ物だと思う。そのためブレが少ない食べ物だと思っていた。美味しいけれど飛びぬけて美味しいということはなく、逆にまずいということもない食べ物だ。食べる前から大体の味が想像できてしまうわけだ。

それが高岡でコロッケを食べて驚いた。どれも想像以上に美味しいのだ。今までじっくりコロッケだけを食したことがないからかも知れないが、高岡で食べたコロッケはとにかくとても美味しく、コロッケを口に運ぶのが楽しみで仕方が無かった。それはとても幸せなことだった。

今回満腹で行けなかったお店も沢山ある。豆乳コロッケや氷見牛コロッケなど、ぜひ食べたいコロッケだ。また行きたいと思う。

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