特集 2013年4月22日

いい気持ち、黄金比

黄金比なのか。
黄金比なのか。
人が最も美しいと感じる長方形の比率を黄金比というらしい。

身の回りにこの黄金比を持つ長方形はあるだろうか。

あるとしたら、それはやっぱり美しいのだろうか。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

アルフォートは黄金比なのか

黄金比という比率がある。

詳しい理由は知らないが、長方形で言うと縦横の比がおおむね1:1.6のものが最も美しく見えるのだとか。

昔の有名な絵画とかピラミッドとか、他にも自然界の均衡の取れたデザインにはこの黄金比があてはまるらしく、この比があてはまる図形に、人は惹かれるのだそうな。

そこでふと思い当たる節があった。

僕が好きでよく食べているアルフォートである。
この比、もしかして黄金比なのではないか。
この比、もしかして黄金比なのではないか。
僕がアルフォートばかり食べているのは、もしかしたらこのきっちりした形に惹かれているのではないか。そうでもない限り安売りの薬局で箱買いとかするはずがない。

さっそく定規で測ってみた。

1:1.4

これがアルフォートの縦横比であった。違うのだ。

パッケージはどうだ。
パッケージは1:2.2。これも違う。
パッケージは1:2.2。これも違う。
やっぱりおいしいから食べてるだけだった。

いうなればこの企画これで終わりなわけだが、せっかくなのでいろいろ調べてみた。

黄金比のお菓子を探して

例えばアルフォートの次に好きなお菓子、ポッキーはどうだろう。
これまでの人生で50箱くらいは食べていると思う。
これまでの人生で50箱くらいは食べていると思う。
中身はもちろん棒なので、パッケージで測ってみた。
この図形である。アルフォートの箱よりも少し短いだろうか。美しく説得力のある形だ。
この図形である。アルフォートの箱よりも少し短いだろうか。美しく説得力のある形だ。
1:1.7

測ってみるとポッキーのパッケージは縦横比1:1.7だった。
※計測は定規を使って手で測っているため、多少の誤差はあるものと思われます。
これはもうほとんど黄金比と言っていいだろう。ポッキー、さすがである。

数あるお菓子の中でもポッキーは一つステージが高いな、とは思っていたが、こういう理由だったのか。

ではこれはどうか。同じくパッケージが特徴的なお菓子である。
森永ミルクキャラメル。
森永ミルクキャラメル。
僕は高校の頃、ずっとこのパッケージ柄の筆箱を使っていた。あのこだわりは黄金比が影響しているのかもしれない。
これもやはり美しい。
これもやはり美しい。
測ってみると1:1.7である。

これもポッキーと同じ比率、つまりほぼ黄金比であった。

やばい。

やはり売れてるお菓子のパッケージは黄金比を取り入れていたのだ。

僕はいま世の中を支配する隠れた法則を掘り起こしてしまったのかもしれない。こんな風に公開して大丈夫だろうか。消されたりしないだろうか。

ビスコ、黄金比ここに極まる

消されるって誰に消されるのだ。

そんなことより一つすごいのがあったので紹介したい。
ビスコ。これも気持ちのいい形である。期待できそうだ。
ビスコ。これも気持ちのいい形である。期待できそうだ。
測ってみると縦横比1:1.6。

ビスコ、完璧に黄金比である。

すばらしい。ニュートンが万有引力の法則を発見したときもきっとこんな感動だったのかもしれない。きれいなデザインの箱には訳があったのだ。

お菓子の箱以外にも、例えばこれなんかいい形をしていると思わないか。
これから餅を食べるたびに美しさに見とれますように。
これから餅を食べるたびに美しさに見とれますように。
見るからにパーフェクトである。
見るからにパーフェクトである。
測ってみるとなるほど1:1.6。黄金比である。

もし餅が黄金比でなく正方形だったら、きっとお正月にもこれほど食べられていなかっただろう。

すばらしい。

もしかしたら実際にプロダクトデザインは黄金比をものすごく意識して綿密に仕組まれているのかもしれないけれど、それ以前に人が美しい、と感じる比率が多くのデザインに影響を与えているのだろう。

外の世界にも黄金比はあてはまるのか、調べてみた。
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外の世界はどうだ

今まで身近にある長方形の縦横比を測ってきた。では外にあるもっと大きなものではどうか。

たとえば企業のロゴ。ロゴは人に気持ちよく見られたい最前線だろう。ということはやはりいい比率で描かれているのではないだろうか。
例えばこの猫、なかなかいい比だと思わないか。
例えばこの猫、なかなかいい比だと思わないか。
この会社は知り合いの父親が役員をしていてそいつすごい金持ちです。
この会社は知り合いの父親が役員をしていてそいつすごい金持ちです。
クロネコのこのマーク、測ってみると1:1.5だった。

やはりほぼ黄金比である。すこし横幅が狭くつくってあるのはずん胴にして猫に愛嬌を持たせるためかもしれない。

もう一つおなじみのこちらのマークはどうか。
こんな上下につぶれていたっけ?
こんな上下につぶれていたっけ?
これまで郵便局のマークを間近で見たことがあまりなかったのだけれど、思っていたより上下につぶれているようにも思える。

これってもしかして黄金比を意識しているのではないか。
絶対そうだ。
絶対そうだ。
測ってみると1:1.4。もう少し上下に圧縮したら完璧だった。

隠れ黄金比を探す

ロゴ以外にも黄金比のあてはまるものはないだろうか。身の回りにある見ていて気持ちいいデザインを手当たり次第測ってみた。

たとえばこの自転車。
いいバランスである。
いいバランスである。
走るために余分なものをそぎ落とし、最適化されたデザインである。この大枠を囲ってみると。
あ!
あ!
その比、1:1.7。ほぼ黄金比。

足元のブロックだってもしかして。
え、ここにも?
え、ここにも?
ちょっと横に長いだろうか。
ちょっと横に長いだろうか。
その比1:2.1。思ったとおりちょっと長い。
道路標識はどうだろう。
道路標識はどうだろう。
一番美しく見えるこの案内板。測ってみると1:1.4。
一番美しく見えるこの案内板。測ってみると1:1.4。
スジャータは。
スジャータは。
1:2。このくらいになってくると一目で(ちょっと横長だな)と気づくようになる。目が黄金比を覚えたのだ。
1:2。このくらいになってくると一目で(ちょっと横長だな)と気づくようになる。目が黄金比を覚えたのだ。

天狗が黄金比

やはりリアル世界に目を向けると機能を優先しているためか、なかなかきっちりと気持ちのいい黄金比が見つけられなかった。

そんな中、またロゴで恐縮だが、ほぼパーフェクトな黄金比を持つものを見つけたのでこれを紹介して終わりにしたい。
1:1.6である。
1:1.6である。
「天狗」だけだと1:2.2といささか横長なのだが、冠につく「旬鮮酒場」まで入れるとパーフェクトな比率になる。

僕たちがいつも天狗に行ってしまうのはこういう理由だったのだ。

あてはまると「なるほど」と思います

すべてにあてはまるというわけではないが、しっかりとデザインされたものはやはり黄金比の影を感じるものが多かった。

すっきりと目に飛び込んでくる、黄金比はそんな比率なのかもしれない。
あぶらあげとiPhone4の縦横比が実はほぼ同じということもわかりました。
あぶらあげとiPhone4の縦横比が実はほぼ同じということもわかりました。
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