問題の商品は青山の和菓子屋に

以前大塚さんのコネタで「茄子のプリン」と「梅のタルト」というのがあった（コネタ「茄子プリン、梅干しタルト……の味」）。また変わったものがあるもんだと驚いたのだが、和菓子の桃林堂さんで発見したのが、この野菜の砂糖漬け、五智果だ。

野菜を、砂糖漬けに。野菜という反菓子的素材に対して余りにもストレートに打って出た。

大阪が本店の桃林堂さん、私が行ったのは表参道と青山通りの交差点付近というオシャレ立地ど真ん中に建つ青山店。店内では名物の小さくてかわいい鯛焼き、小鯛焼を外国人の方が３人で買い食いしていた。

そんな中、問題の砂糖漬けは羊羹や最中やに囲まれて余りにもさりげなく売られている。

視線をあと50センチずらすと魚の形の甘いお菓子以上にアンビリーバブルなものがあるのだが、異国の方は気が付いていないようだった。

江戸時代はポピュラーだった

私は子供の頃、ポテトチップとか市販のお菓子を食べさせてもらえない派の家に育った（テレビも自由に見せてもらえない派）。ふ菓子とかたまごせんべいとか地味なお菓子に囲まれて育ったわけだが、それでも野菜の砂糖漬けというのは全くの初見。

でも子供のころおやつにこれが出てきたらちょっとショック大きいかもしれない。子供は酢豚にパイン入ってるの嫌がるから。逆もまたしかりで。

店の方によると、野菜を砂糖漬けにするのは郷土菓子といった訳でもなく、江戸時代ごろにはポピュラーだったらしい。今もお茶菓子としてよく売れているそうだ。

江戸時代とまではいかないが、大正時代のことを知っている者なら我が家にもいる。大正9年生まれ、今月で84歳になる祖母である。

が、生姜の砂糖漬けは好物だという祖母（私も好きです）もさすがに茄子やゴボウのは食べたことがないとのこと。二人で試食してみました。

食べてみて

「新鮮な野菜や果物をそのまま菓子に楽しみたいと、四季折々の丹精を尽くしています」（パンフレットより）

その言葉を１ミリも裏切らない、素材の味全面プッシュぶりに隔世２名して脱帽した。まったく素材の味がする。なんで砂糖と一緒に食べているのか分からなくなるほどに素材のままの味だ。

人参嫌いの子でもこれなら食べられる、みたいなものを想像していたら火傷した。ストイックなまでに人参。とても美味しいけど（多分素材は本当にいいものなんだろう）人参嫌いの人には絶対無理だと思う。

そんなわけで、その野菜を心底愛する方にはおすすめです。なお、遠足に持っていく方はこの野菜は確実におやつに入りますのでどうぞご注意ください。

一緒に入っていた果物や生姜の砂糖漬けも本当に美味しかった。今度はオレンジピールの単品パックを買いたいです。