特集 2013年8月7日

日本史や居酒屋を路線図で表現する(路線図ワークショップ)

鎌倉幕府将軍・執権路線図
鎌倉幕府将軍・執権路線図
以前、料理のレシピを路線図にしてみた。しかし、料理の手順だけではなく、身の回りのものもけっこう路線図っぽく表現できるのではないだろうか?

ワークショップで、参加者のひとたちに、思い思いの路線図を描いてもらった。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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自分の好きなものを路線図にする

先日、渋谷ヒカリエのデイリーポータルZ編集部で行われた「ワークショップ10連発」というイベントで「身の回りのものを路線図にしてみる」というワークショップを開催した。

みんなで集まり、路線図になりそうなものをそれぞれ考えて描こうという、なんともとりとめのないワークショップであったにもかかわらず、5人、関係者含めると7人もの方が参加してくれた。
学習塾みたい
学習塾みたい
身の回りのものを路線図にする。といっても、なにを路線図にすればいいのかパッとは思いつかない、そういう場合は自分の好きなものや得意分野、興味のある分野などから考えていくといいかもしれない。

今回、このワークショップのためにぼくも参考用の新しい路線図を考えてみた。ぼくは歴史全般が好きなので、それで路線図を考えてみたのだが、それがこれだ。
鎌倉幕府歴代将軍
鎌倉幕府歴代将軍
特に途中で幕府の権力が北条氏に移る過程を乗り換え駅として表現してみた。

日本史でよく出てくる「歴代将軍」とか「歴代総理」といった時系列で並んでいるものは路線図にしやすい。

路線図を手書きしてみる

ワークショップではパソコンを使うわけにはいかないので、なんとか手書きできれいに路線図を作ることができないか考えた。

その結果、ポスカとシールを使って描けばけっこうそれっぽく見えてくるということがわかった。
三英傑停車駅ご案内
三英傑停車駅ご案内
上の路線図は信長、秀吉、家康の合戦をそれぞれ停車駅に見立ててみた。
合戦の名称の「の戦い」とか「の合戦」みたいなところをわざと省いて書くと、地名っぽくなって(というより地名そのものなんだけど)より一層それっぽくなるので面白い。

みんなの考える路線図が面白い

それでは、来てくださった方々の考えた路線図を見て行きたい。まずは、子連れで来てくださったエコケロさんの路線図。
育児の理想を路線図に
育児の理想を路線図に
母としての育児の経験が路線図になった。なんのことだかよくわからないけれど、図を見ればなるほど納得できると思う。

夜泣きの時期のループと、イヤイヤ期のループを、本線で結ぶというバスの路線図にちかいような形になって面白い。

バンドのメンバー変遷を路線図に

続いてはヘヴィメタルバンドのメンバーの変遷を路線図にしてきてくださった福島さん。
スレイヤーはヘヴィメタル四天王のひとつらしい。クラシックの作曲家に例えたらたぶんバッハ、モーツァルトレベルだ
スレイヤーはヘヴィメタル四天王のひとつらしい。クラシックの作曲家に例えたらたぶんバッハ、モーツァルトレベルだ
バンドのメンバーがどのアルバムに参加したのかが一目瞭然でわかる。考え方としては戦国武将がどの戦に参加したのかを描き表したぼくの「三英傑停車駅ご案内」と同じだ。

福島さんはワークショップではレインボーのアルバムに誰が参加したかがわかる路線図をつくってくださった。
リッチー・ブラックモアは聞いたことある……
リッチー・ブラックモアは聞いたことある……
さっきとは逆で、横軸がアルバム名で駅がメンバーだ。見せ方が逆でも路線図は成立する。
フレキシブルな対応も可能なのはすごい。
色使いが虹色になってるのもなかなかのこだわりである。

鳥の生態路線図

鳥類の生態を路線図に描き出したのはわざわざ遠いところからきてくださった服部さんだ。
同じ等級の列車でも停車するしないがあるという芸の細かさ
同じ等級の列車でも停車するしないがあるという芸の細かさ
さまざまな鳥類が、どのような場所に住んでいるのかがわかるという路線図。社会科っぽい題材が多かったけれど、理科っぽい題材も路線図はいける。理系とか文系とかそういうカテゴライズが無意味にみえる瞬間だ。

飲み会の思い出も路線図に

続いては飲み会の様子を路線図にしてしまったスンコロさんの路線図。
日記みたいな路線図
日記みたいな路線図
家族と友人で居酒屋でお酒を飲んだその様子を時系列に並べて路線図にしてしまった。ここは満を持してこの言葉を使いたい。その発想は無かった。

スンコロさんはあとでわざわざデジタルで清書した路線図を送ってきてくださった。それがこちらだ。
どうやって酔ったかがよくわかる
どうやって酔ったかがよくわかる
居酒屋で何を頼んで何を食べたかの様子はたしかに時系列で並んでおり、同じものを食べたり(乗り換え駅)、それぞれ好きなものを頼んだり(各駅停車)など、路線図と相性がいい。

居酒屋路線図を作った人がもうひとり

居酒屋をモチーフとした路線図を作ったのはもうひとり居た。ウェブマスターの林さんだ。
いつ行っても座れる天狗だいすき
いつ行っても座れる天狗だいすき
林さんは天狗(居酒屋)の宴会コース料理を路線図に表現した。

コースで出てくる料理が各駅になっており、各コースで出てくる料理が微妙に違う。ということがよく分かるようになっている。

ただ、メイン料理が各コースによって違う。というあたりをどういう風に表現するかが非常に悩ましい問題だった。

無理やり分岐させると、路線図ではありえない形になってしまうため、苦肉の策として乗り入れ路線っぽくメインの料理名を書き込むことにした。

そんなに「悩ましい」とか言うほどでもない問題なんだけど。

駅の数が多すぎて時間切れ

ワークショップには、ライターのべつやくさんも参加してもらった。

べつやくさんはあの世の路線図を作るということで、どんな地獄があるのか書き出していたのだが、地獄の種類を書き出すだけで時間切れになってしまった。
地獄の種類多すぎ!
地獄の種類多すぎ!
これはもし完成すれば、ターミナル駅からニュータウンの郊外へ向かうバス路線図のようになるかもしれない。ぜひみてみたい、地獄ニュータウン。

幕末の動きを路線図にできないか?

幕末の各藩の動きを路線図で表現しようとしてくれたのは、トリバタケさんだ。残念ながら、藩の参加した事件を調べているうちに時間切れになってしまった。
完成出来なかったのが惜しまれる
完成出来なかったのが惜しまれる
幕末路線図はせっかくなので、ぼくが勝手に清書させてもらった。
八月十八日の政変がターニングポイントだな
八月十八日の政変がターニングポイントだな
シールを貼っていて気づいたけれど、こうやって時系列で並べてみると、八月十八日の政変を境に長州が幕末の騒乱に巻き込まれているのがわかる。

源平合戦を路線図にしてみた

ひとの路線図を見ていると、だんだんぼくも路線図描きたい欲が出てきた。
この前まで平家物語の本を読んでいたので、源平合戦を参考に路線図を描いてみた。
衣川館をどう表現するか悩んだ
衣川館をどう表現するか悩んだ
頼朝、義仲、義経を中心にバス路線図のようなやつを組んでみた。せっかくなので、廃止路線として、ジンギスカン義経伝説まで入れてみた。

ご参加ありがとうございました!

以上、路線図ワークショップで描いてもらった路線図をざっと見てみた。

そもそも、路線図ワークショップといっても、教える方のぼくがまだどういうふうに描けば路線図っぽくみえるかを試行錯誤している段階であるため、満足なアドバイスが出来たかどうか不安だったが、ひとの描いた路線図を見るのがこんなにおもしろいとは思わなかった。
参考用にぼくがもう一つ作った人体循環線は途中駅が少なかったからか、ただの模式図みたいで路線図っぽくならなかった……。
参考用にぼくがもう一つ作った人体循環線は途中駅が少なかったからか、ただの模式図みたいで路線図っぽくならなかった……。
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