特集 2015年5月7日

伝説の定食メニュー「バラエッグ」を作る

激ウマ
激ウマ
「バラエッグ」とは豚バラ肉をベーコンエッグ風に作った料理だ。カリカリのバラ肉と玉子が絶妙にマッチしていて、とてもおいしかった。あれをまた食べたい。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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地方国立大近くの定食屋の看板メニュー

埼玉大学に近い某定食屋。夫婦二人でやっている汚い定食屋だが、安くてまずまずうまい。体育会系学生の御用達で、いつも店内は部活帰りの大学生がひしめき合っていた。

そのなかでも人気があったメニューは「バラエッグ」850円である。値段は上位クラスだったが、ここぞというときにぼくはよく食べた。

今日はそれを家で再現してみたいと思います。

バラエッグの調理風景

作り方は難しくない。ベーコンエッグと同じである。
豚バラの両面に軽く火を通しまして
豚バラの両面に軽く火を通しまして
卵を三つ乗せます
卵を三つ乗せます
蓋をしてしばし待ちます
蓋をしてしばし待ちます
特筆するところのないレシピ。だけれども作っているうちになんだかすごく興奮してきてしまった。大学卒業以来、実に10年、ぼくはこのバラエッグを食べていない。

今回作ろうと思い立ってから、スーパーに行って……調理を初めて……。そして今、この現在! まだ出来ていない!

バラエッグの玉子は半熟でないといけない。蓋ごしから火の通り具合を慎重にうかがう。調理が単純なだけにもどかしく、中々にじらされる。
火の通り具合はこんなものでしょう
火の通り具合はこんなものでしょう
バッと蓋を開けると……おお、これじゃ。心を静めて塩コショウを振る。
バラエッグを千切りキャベツの上に乗せます
バラエッグを千切りキャベツの上に乗せます
千切りキャベツは絶対に必要、もし用意できなかったらバラエッグ作るの止めてほしい。

キャベツは豚バラの脂を程よく吸ってくれる。熱々の脂でちょっとしんなりしたキャベツは、半熟の卵黄を身にまとい、一気に未体験のワンダーランドへと飛翔、高みに舞い上がる。

何が言いたいのかというと、キャベツもうまいということだ。肉と卵がうまいのは言うに及ばずで、つまりはこの一皿の中は全部うまいのだ。
醤油をかけます
醤油をかけます
ヘッヘッヘッ……
ヘッヘッヘッ……















バイトをクビにされたけどバラエッグは最高

実はこれ、長いことちょっと近づきがたい食べ物だった。
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この「バラエッグ」を出してくれる定食屋が好きすぎて、ぼくは当時そこでバイトをしていたのだ。
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ご飯をよそって配膳するだけの仕事である。大学や部活の友達がよく来ていて、気楽なバイトだった。こっそりとライスを多めによそったりしたものである。お椀の底にギュッとつめて、上の方はふんわり盛るのだ。

***

バイトは好きな料理をなんでも一つまかないとして食べていいという決めがあり、ぼくはバイト上がりに欠かさずバラエッグを食べていた。

しかし、その後なぜか店主と折り合いが悪くなり、半年くらいでクビになる。バイト上がりに唐突に「いい加減にしてくんねえかなあ」と詰め寄られたのは今でもよく覚えている。
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折り合いが悪くなった原因はいろいろあるのだが(シークレット大盛りがバレていた)、どうもぼくが割に高価なバラエッグをまかないとして毎回注文していた……というのがことさら心象が悪かったらしい。後で別のバイトから聞いた。

他のバイトは店主に遠慮して必ず一番安い550円の定食を注文していたらしい。なんだ、それ! 他のバイトと一緒になることがなかったので知らなかったよ。

そして定食屋はつぶれた

大学卒業後数年してからバラエッグを求めて定食屋に向かったのだが、定食屋はもうなかった。クビになった気まずさをおしても食べたかったのに。

インターネットでものすごく検索したら、大学から少し離れたところに移転し、その際に少々値上げをしたらしい。それが原因かつぶれたそうだ。そうか、つぶれたか……。

店はなくなってもバラエッグの記憶は残りますね。おいしい。
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