子供のころ、切れた蛍光灯を取り替えるのが楽しみでした。
それは、ふたたび明るさを取り戻す部屋に安心していた、のではなくて、新しい蛍光灯が入っていた箱、あの細長い筒を覗くのが好きだったからです。
なぜなら、そこには薄暗くて細い、でもどこかで見たことのある地下道が出現するから。
(萩原 雅紀)
誰しもが通る道だと思っていた
大人になってから久しぶりに思い出し、何となくデイリーポータルZの企画会議で「まあ皆さんやってたと思いますけど」みたいな感じで話してみたら、なんとその場にいた誰もやったことがないという!え、みんなあの地下道見たことないの?
やり方は簡単。地下道が見たいなーと思ったら蛍光灯が入っていた箱を準備し、端から中を覗くだけ。
のび太のリアクションて純粋でいいなーなどと思いつつ、そのときに見えている景色はこんな感じ。
どうでしょうか。僕はこれを覗いて地下道だと思いながら大人になったので「全然見えない!」などと言われると返す言葉が見つからないのですが、とりあえず今回は「これが地下道に見える」ということを前提で話を進めます。
地下道を見るコツ
覗く上で重要なのは箱の向き。たいていの蛍光灯の箱は、4面あるうちの3面がブランドや商品名などが印刷されている、いわゆる「表向き」の面、そして残る1面に商品の詳細や注意書きなどが表記されていると思うのですが、このいわゆる「裏面」を上向きにして覗くのがポイント。
よく見ると、商品の詳細や注意書きなどは別の紙に印刷されていて、四角に折られた段ボールを接着するためのシールの役割も果たしているのですが、この面の段ボールには、構造上真ん中にほんの少しの隙間ができているのです。
つまり、この面の中心線上は段ボールがなく、薄いシールの紙だけになっているので、明るい場所で箱を覗いたとき、天井部分が一直線に光るのです。そしてそれが天井に並ぶ蛍光灯に見える!
すごい、天井に蛍光灯を取りつけて、空いたその箱を覗くと取りつけた蛍光灯からの光で箱の天井に蛍光灯が見える!なんか一回転した!
アレンジもできる
この地下道、箱をほんの少し上下左右に曲げると実際に曲がった地下道のように見えて、さらにリアルです。これはぜひ覗いていただきたい!
覗きながら片手で箱の先の方を持って上下左右に動かしていると、この先はどこに続いているんだろう...!とすごく興奮できることうけあいですが、大人として人に見せられる姿ではないので注意が必要です。
楽しいけど心配
久しぶりにやってみて、相変わらずすごく楽しいのですが、冷静に考えると子供時代の自分が心配になりました。
でも実物は写真より断然リアルなので、器用な人は天井から看板を下げたり両側に店を作ったり人形を立てたりして、よりリアルな地下道に仕上げられるんじゃないかと思います。
そこまでする意味があるのかはまったく分かりませんが。