「(3)女のぞうにいけ」の続き
冒頭で書いた「(3)女のぞうにいけ」この落書きを見つけたのは都内の児童公園だった。
遊具のあるスペースが２つにボール遊びのできる広場、さらに庭園まである割合大きな公園だ。
手前がボール遊びのできる広場、奥に遊具。背後に庭園がある
遊具コーナーの滑り台の側面
「(3)女のぞうに行け」
「女のぞう」。一瞬なんだろうと思ったがすぐに思いついた。庭園の真ん中に確か少女の銅像があったはずだ。
あった。 「小鳥と少女」というタイトルの銅像
周囲を探してみると、像の土台にまた小さく何か書いてある。
「(4)ライオンを見ろ」？
何度か来たことのある公園なので少女の像はすぐに分かったが、ライオンなんてあっただろうか。
と、なんとなく視線を感じて振り返った。
いらした！
すぐ後ろに小さなライオンのレリーフがあってこっちを見ていたのだ。 ちょっと、いやかなりドキッとした。
及び腰で近寄ってみると、ライオンのレリーフの下にまた指令が書いてある。
「(5)電話ボックええいけ」
電話ボックスへ行け、ということだろう
正直、ちょっと怖い。
晴れた昼間であたりは明るいのに妙にどきどきする。誰かがどこかで見ていて何か悪いことが起きるのじゃないか。次の指令になにかとんでもなく恐ろしいことが書いてあるのじゃないか。
子どもが書いたと思われる文字の妙な崩れ感や「○○へ行け」と書くべきところの間違い「○○えいけ」の「え」がまたじわじわ怖い。
電話ボックスはすぐそばにあった
けっこうな勇気を振り絞って中に入る。上から何か落ちてきたらどうしようかと思ったがそういうこともなく、指令も見当たらない。
ここで終わりか？ と思ったそのとき。電話ボックスの脇のベンチに小さい小さい文字を発見した。あった。
？
なんだろう。日吉？ しばらくわからなかったのだが、日吉ではなく「時」だと気づいた。
「(6)時けいえいけ」、時計へ行け、だ。
時計なら広場にある
指令だ！
「(7)緑のさくに行け」 。次の指令である。
しかし緑の柵が何のことか分からない。公園は半分が緑色のフェンスでおおわれている。そのことだろうか。
フェンスは一応緑色
もしフェンスのことだとするとこれまでの指令とは違って指定範囲が広い。別の柵のことかとも思いつつ指令を探すが、やはり見つけられなかった。
指令はごくごくごくごく小さく書いてあるため見落としたのか、もしくは別の「緑のさく」だったのか。
しかしそんななか、別の指令を見つけてしまったのだ。
「(13)ここをのぼれ」
指令はコンクリートの大型の遊具につけられたはしごに書いてあった。13番の指令である。
きちんと指令をたどるなら次は８番のはずなので、かなり飛ばしたことになる。
間を飛ばしたのはルール違反だが、完全に指令をたどる変な恐ろしさがズルをすることで消えて、ちょっとほっとする気持ちもあった。
よし、このままたどってみよう。
はしごを上った先には滑り台に、あった。
「(14)ここをすべれ 」 。私は大人だが、ここはまじめにすべっておこう。
すべった先には……。
んんん？
なにもない？
よっこらしょと立ち上がる。
やっぱりない。うーん。２、3歩、あるいた。
はっ。
絶妙な目線の先のブランコの柵に、あった
「(15)これでさいご いすをさがせ」
これでさいご、である。一体なにが出てくるのだろう。
イスというとブランコのことだろうか。4つあるブランコのシートを一つ一つめくって調べてみた。
指令は3つ目のブランコの裏に、あった。
あれ？ (２)？
「(2)チビッコからのしれん 3こならんでるところにいけ」
どういうことだろうか。「これでさいご」という先ほどの指令とは別の指令がまた新たに始まった（けれど番号は2番だ）ということか。
公園内にあるほかのイス（ベンチ）の周囲も探し見てたのだが、結局指令のゴールらしきものや、他の指令は見つけることができなかった。
それにしても、ついつい興奮である。私が子どものころはなかったと思うが、 「チビッコからのしれん」という遊びなのだろうか。
もちろん落書きはいけないことだが、子どもが友達を楽しませようと一生懸命頭をひねっている様子が思い浮かんだ。
なにか書いていないか丹念に調べてしまった
この公園だけじゃなかった
驚いたことに、この手の落書き指令があるのはこの公園だけではなかったのだ。
さきほどの公園と同じ区内ではあるが、距離的にはやや離れている別の公園はさらに指令だらけだった。
遊具あり広場ありで
こちらも広い公園
この公園ではどうやら複数の指令の系統が混在しているようだった。
「(4)時計のほうをみろ」という指令のすぐしたに
「(A) 橋へ行け」とも
指令の先に行ってもまた複数の行先が指示されているなど完全に混線している。
時計へ行ってみると、また複数の指令が
「(2)×」とある、この「×」で系統を分けているのか？
とりあえず、全ての指令はたどるべく探してみたのだが、どの指令も途中で途切れて最後まではたどり着けないのだ。
丸いベンチの裏、なにもなし…
青い滑り台で指示された「橋」にはおそらく別の系統らしき「(10)☆とけい」（時計に行っても続きは見つからず）
指令で遊ぶお兄ちゃんやお姉ちゃんを真似してもっと小さな子どもが見よう見まねで書いたのか、と思われるものも
「大きなすべりだいをすべれ」の指令は
6歳～12歳の年齢制限があった （滑ったつもりで次の指令を探したがやはり見つけられなかった）
この公園では指令落書きが流行りすぎて収集がつかなくなってしまったようだ。
「ここからスタート!!」という指令もあったが、いきなり2つ目が見つからず
距離の離れた公園でも発見
このあと、さらにもう一か所の公園で指令を見つけた。
これまでの2か所と比べるとサイズとしては5分の一程度の広さの公園
ここ、これまでの2か所からだとギリギリ自転車でこられるが、普通だったら電車で来るくらいくらい離れた場所にある。
この遊び、局地的なものはなくやや広範囲で子どもたちの間で広まっているのだろうか。
指令を見つけたのはこのスプリング遊具
(1)だ！
すぐ隣のスプリング遊具が「うさぎ」。おしりを見ると
「(2)トイレ」
トイレもすぐ近くにある。行ってみると……
「トイレ うし」
「トイレのうしろへ行け」ということだろうか。まわってみるが指令落書きはない。うーん。
結局このほかには公園のどこにも指令を見つけることはできなかった。
ちょうど私が訪れたとき、区からの依頼を受けているという清掃員の方々が大勢で一斉に公園の清掃にあたっていた。
定期的にこのような清掃が入っているらしくとてもきれいな公園だ。落書きも見つけ次第消しているのかもしれない。
「チビッコからのしれん」とは
どの指令も最後までたどりつくことができなかったが、子どもだったららくらく謎を解いているのだろうか。
小学生の子どもを持つ知人友人に聞いてみたところ、こういった遊びの話は聞いたことがない、見たこともないという反応だった。
もしかしたら子どもだけの間でひそかにはやっているのか。
ご近所の公園で見かけたことはありませんか。もし見かけたらぜひ写真にとって、こちらへ投稿してください。
＞＞ちょっと見てきて「チビッコからのしれん」
