特集 2013年2月18日

から揚げ粉でクッキーを作る

から揚げ味。
から揚げ味。
から揚げの美味さの大部分は衣の美味さなのではないか。

その仮説を確かめるため、から揚げ粉でクッキーを焼いてみた。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:山よりでかい人、あらわる。

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

から揚げの美味さはほぼ衣

から揚げの美味さの7割くらいは衣の美味さなんじゃないかと思っている人、手を上げてほしい。

オーケー、わかった。ということは、だ。衣だけを効率的に食べられる方法があればそれは朗報であろう。うまくいけば肉いらずである。
参考写真。
参考写真。

いろんな粉でクッキーを焼こう

というわけで今回はから揚げ粉でクッキーを焼いてみようと思う。バターと砂糖はから揚げ粉をどれだけ美味く食べさせてくれるのか。成功したら世の価値観をひっくり返すことができそうな気がしています。
せっかくなのでから揚げ粉以外の粉でも試してみたい。
せっかくなのでから揚げ粉以外の粉でも試してみたい。
まずは本命のから揚げ粉から。
今日は君が主役だ。
今日は君が主役だ。
から揚げ粉は小麦粉以外にも実にさまざまな材料が使われている。これだけ入っていたらそりゃあうまいだろう。
もはやこれだけで料理といえるんじゃないか。
もはやこれだけで料理といえるんじゃないか。
逆の考え方もある。例えば明日急にクッキーを焼かなくてはいけなくなった、でも家には小麦粉がない。

そんな時に他の粉でクッキーを作れたらこれは便利だ。

これは一度で二度美味しい企画なのである。

メイキングオブから揚げクッキー

粉こそ違えどレシピは通常のクッキーに準じる。一般的なクッキーのレシピから薄力粉の部分をそっくり他の粉に入れ替えるのだ。今回は比較調査ということで、粉以外の部分についてはどのクッキーも同じ条件とした。

念のためレシピを書いておこう。
粉:100グラム
無塩バター:30グラム
砂糖:30グラム
塩:ひとつまみ
玉子:半分
これらを混ぜて生地を作る。
これらを混ぜて生地を作る。
まず室温に戻しておいたバターと砂糖を混ぜ、次に粉と玉子を入れて練る。
から揚げ粉を入れるときにはさすがに少し躊躇した。
から揚げ粉を入れるときにはさすがに少し躊躇した。
から揚げ粉で作ったクッキー生地は通常のクッキーと同じようにツヤがあり、見た目には特に違和感がなかった。
生地のまとまりもいいです。
生地のまとまりもいいです。
しかし匂いを嗅ぐと思いっきりから揚げなので頭がついていかない。うっかり油で揚げてしまいそうになる。
この状態で冷蔵庫に入れ1時間ほど寝かせます。
この状態で冷蔵庫に入れ1時間ほど寝かせます。
から揚げ粉の他にもてんぷら粉、お好み焼き粉、普通の薄力粉の合計4種類の粉でクッキーを作った。
てんぷらの美味さもほぼ衣だろう。
てんぷらの美味さもほぼ衣だろう。
お好み焼きの美味さもほぼ生地。
お好み焼きの美味さもほぼ生地。
焼く前の生地に関して言えば、てんぷら粉で作った生地が若干ぱさぱさしていたような気もするが、練っていくうちにどれもちゃんとまとまってくれた。

から揚げ粉クッキーだけは目立ちすぎるほどのから揚げ香を放っているが、それ以外のクッキーはほぼ無臭である。色はすべて少しずつだが違う。
こうやって見るとふつうのクッキーとなんら変わりない。
こうやって見るとふつうのクッキーとなんら変わりない。
それでは一斉に焼いていこう。
170℃のオーブンで30分ほど焼きます。
170℃のオーブンで30分ほど焼きます。
果たして狙い通り、から揚げの美味さを凝縮したクッキーはできるのだろうか。
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変化は突然に

焼き始めてすぐに変化が現れた。
焼き始めてすぐに変化が現れた。
焼き始めて5分ほどで見た目に変化が現れた。お好み焼き粉で作ったクッキーが徐々にでかくなっているのだ。

お好み焼き粉だから膨らんであたりまえなのかもしれないが、他のクッキーとの挙動の違いにあわてた。

その他のクッキーはほぼ変化なく、その場でじっと焼かれていた。

そして30分が経過。
お好み焼き粉で作ったクッキーだけでかい。
お好み焼き粉で作ったクッキーだけでかい。
焼いている途中の香りが少し特殊だった。記憶を探るとマックグリドルというハンバーガーを思い出す。

ソーセージが甘いパンケーキで挟んである変り種バーガーである。これははっきりいってすごいいい匂いだ。

肉の味と甘い香りとは完全に同居できる、と思った。

いざ試食

焼きあがりもやはり普通のクッキーと変わりない。
焼きあがりもやはり普通のクッキーと変わりない。
それではさっそく食べてみよう。から揚げクッキーは粉界の革命児となりうるのか。クッキーといえばお供はコーヒーか紅茶だが、いかんせんから揚げの匂いがしているのでビールと悩む。
香りが加わると見た目以上に違和感あります。
香りが加わると見た目以上に違和感あります。
では食べてみたい。
うわ。
うわ。
思わずデジカメをドラマチックモードに切り替えてしまったほどである。

一言で言えば辛いのだ。

それだけではない複雑な味なのだが、まず辛さがくる。そして濃い。よく言えばから揚げの旨みが凝縮されているとも言えるが、同じくスパイシーも凝縮されてしまった。ひとかけらでご飯半分くらい食べられる。

しかしせっかく作ったのだ、たまたま次の日にライター小野法師丸さんに会う機会があったので試しに食べてもらった。申し訳ないとは思いつつ。

そうしたら真逆の感想が出たのでびっくりしました。

絶賛された

これうまいっすね!
これうまいっすね!
「確かに味は濃いですが、これはこれでいけますよ」と小野さん。

まじか。

最初に辛いですよ、と忠告して小さく割って食べてもらったのがよかったのかもしれない。しかしここまで判定に差があるとどちらが一般なのかわからなくなってくる。

同じようにてんぷら粉とお好み焼き粉で作ったクッキーも食べてもらった。

てんぷら粉クッキー

これも見た目は普通。
これも見た目は普通。
ああ、これはもっとうまいですわ。
ああ、これはもっとうまいですわ。
この高評価には僕も賛成である。

てんぷら粉で作ったクッキーは小麦粉に比べザクザクしていて歯ごたえがよかった。例えるなら鳩サブレみたいな食感である。うまい、はっきり言って普通のクッキーよりもこっちの方がうまい。
薄力粉で作ったクッキーよりもザクザクした歯ざわりになります。
薄力粉で作ったクッキーよりもザクザクした歯ざわりになります。

お好み焼き粉クッキー

これについて、僕の感想を最初に書いてしまうと、謎の味だった。

見た目はクッキーなのだが、出汁の風味が効いていてお菓子の枠を超えた存在なのだ。一概にまずいとは言い切れない不気味さを伴う新しさである。食べているとふと(もしかしたら自分これ好きかも)と一瞬迷う瞬間がある。
謎の味である。
謎の味である。
美味しくも不味くもないんだけど、クッキーとは圧倒的に違うなにか。こういう食べ物ロシアや北欧あたりにありそう。

これ、小野さん的にはどうですか?
いやあ、これもうまいっすねー!
いやあ、これもうまいっすねー!

小野さんがすごいって話か

今回、何が驚いたって試食をお願いした小野さんの守備範囲の広さに驚いた。

確実にクッキーとは異なる味の食べ物(だけど見た目はクッキー)なのに、すんなりと受け入れてうまい!と言い放つ寛容力。真のリベラルである。

ナマコとかまいたけなんかを最初に食べた人もこういう人なんじゃないかと思う。尊敬をこめて。

クッキーを作るなら小麦粉かてんぷら粉

賛否両論あったが、から揚げ粉で作ったクッキーは常用するには少しパンチがありすぎたと思う。もしかしたら小麦粉と半々くらいに混ぜて作るともう少し美味しいものができたかもしれない。

しかし今回一番の発見はてんぷら粉で作ったクッキーが美味しかったことだと思う。

普通のクッキーと比べてもこちらの方が美味しいといえるくらいの品質だった。これならば小麦粉切らしてるときに代わりに使ってもいいだろう。から揚げ粉とお好み焼き粉はやめた方がいい。
これは普通に薄力粉を使ったクッキー。安心のうまさ。
これは普通に薄力粉を使ったクッキー。安心のうまさ。
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